カウンセラーいーちんのブログ

恋愛体験談、家族、コミュニケーション、毒親、アダルトチルドレン、うつ…etc.

映画『万引き家族』の登場人物を考察してみた―父・柴田治

こんにちは、いーちんです。

 

映画『万引き家族』が好き過ぎて、

今日も2度目の鑑賞にいってきました。

 

好き、というか興味があるんですよね。

 

そこで、様々な背景を背負う、

ひとりひとりの登場人物について、

考察してみたいと思います。

 

まずは、柴田治(リリー・フランキー)

 

f:id:kkkssskun:20180811224605j:plain

 

家族のなかでは、父親のような存在。

彼は祥太を息子のようにかわいがり、

万引きを教え込んでいます。

鈴のことも娘のようにかわいがっていますね。

信代は実際にパートナー。

そして、初枝は母親のように接しています。

 

なぜ父親として接するのか

そんな彼ですが、父親のように接していた祥太からは、

「お父さん」とは呼んでもらえません。

逆に、自分自身は「父ちゃんはよ〜」と、

自分のことを「父ちゃん」と呼んでいます。

 

映画終盤で発覚するのが、

祥太の「祥太」という名前は、

治自身の本名だったという事実です。

 

なぜ、彼は自分の名前を、

息子のように接している子どもにつけたのでしょうか。

 

彼の素性を解き明かす、

最大のポイントはここだと思います。

 

ここからはぼくの憶測ですが。

治は幼少時、実の父親がいなかったのではないでしょうか。

もしくは、実の父親に父親らしい対応を

してもらえてなかったのではないでしょうか。

 

だから、まるで自分の幼少期のその満たされない感情を、

自らが父親役となり、祥太に父親らしく接することで、

満たそうとしていたのではないでしょうか。

まるで、幼少期の自分自身に接するように。

 

 

教えられることが他になかった

警察による尋問のシーンで、

「なぜ万引きを子どもに教えたのか?」

という質問をされた彼は、

「他に教えられることがなかった」

と答えていましたね。

 

自分が子どもになにかを教えたい、と思うのは、

父親としての特性のように思います。

「いいところを見せたい」

「子どもに認められたい」

と思うのは、親にとっては当然のことです。

 

ですから、彼の場合は、

万引きを教えた、ということなのでしょう。

 

万引きや窃盗は犯罪ですから、

それを子どもに教えること自体はどうかと思います。

というか、ダメですよね。汗

 

ただ、父親として子どもに教えられること、というのは、

人それぞれであっていいと思うんですね。

犯罪はダメですが、

世の中には認められないようなことでも、

父と子の間で認め合うことが成立するようなことなら、

ぼくはなんでもいいと思います。

 

テレビゲームだっていい。

工作だっていい。

オシャレの仕方だっていい。

ブログだっていい。

女の落とし方だっていい。

 

勉強やスポーツだけじゃないはずです。

 

 

信代が連れてきた

警察による尋問のシーンで、

もうひとつ気になった点がありました。

それは、鈴を誘拐したのは誰か、と聞かれたときに、

「信代が連れてきた」と答えたシーンです。

 

実際は、鈴を連れてきたのは治です。

確かにそのあと、

亜紀が誘拐だと指摘した際には、

信代が「身代金を請求しているわけでも、

監禁しているわけでもないから、これは誘拐ではない」

と言いましたが。

 

それにしても、

鈴の誘拐(というか、個人的には「保護」と言いたい!)の責任を、

すべて信代のせいにするあたりは、

彼の無責任な性格といいますか。

家族やパートナーを守ろうとする父性が欠如しているのが見て取れました。

祥太が怪我をして入院した際も、

祥太を置いて逃げようとしていましたから。

 

それを考えると、

彼が父親として祥太にふるまいたがっていたのは、

いったいなんだったんだろう、という疑念も否めなくなりました。

 

ただ、彼は父親らしくふるまいたかっただけなのか。

血のつながっていない家族は、

やはり本当の意味での家族にはなれなかったのか。

 

そんな問いが頭をよぎって。

なんだか残念な気持ちになりました。

ぼくは、どちらかというと、この映画を見て、

「家族にもっとも大切なのは、血よりも絆である」

というセオリーを信じているんで。

 

ただ、最後のシーンで、

祥太は「お父さん」とささやくシーンがあったので。

 

一緒にいることはできなくても、

祥太の心のなかでは、治は父親として存在していたのかな、

と思えました。めでたしめでたし。